京都を中心として、関西は常に日本の歴史の中心にありましたし、多くの文化が京都や大阪、奈良で生まれ育った背景もあります。実際、関西に端を発する和雑貨や伝統工芸、中でも現在も商業ベースで採算の取れている文化とは何があるのでしょうか? 今回はその点を考えたいと思います。
やはり京都や奈良を中心とした関西圏の文化の懐は深く、現存して商業ベースにも乗っている伝統工芸品や和雑貨はたくさん存在しています。具体的には、
などいろいろとあります。もちろんはしや手ぬぐいなどは京都以外でも作られている日用品になりますが、京都には全国的な知名度を誇るお店や名匠が存在します。そうした日用品を生活の中に取り入れれば、少しだけ世界の見え方が美しくなります。非常に優れた和雑貨ばかりなので、少し詳しく見ていきたいと思います。
京都には1764年に創業し、今もはし一筋で営業をしている老舗があります。京都に集まる食通や料理人、茶道家などのニーズに応える形で店主自らがオーダーメイドで制作するはしが看板商品となっています。
荒削りした竹を天日干ししてから乾燥させ仕上げに入る手の込んだはしですが、庶民でも手を出せる値段なのでぜひとも手に入れてみてください。
扇子は中国より伝来した道具ではなく、日本で独自に開発され逆に中国に輸出された日用品です。その本場が京都であり、京扇子は開いても閉じても美しいその優雅さが江戸扇子にない魅力です。
1つの扇子を作るだけでも扇骨師、絵師、箔師、折り師などいろいろな職人が携わっており、日常利用向けからお茶会向けまで、いろいろなタイプの商品が今もなお生み出されています。
江戸にも素敵な手ぬぐい、風呂敷がたくさんありますが、京都発の優れた染め色の手ぬぐい、風呂敷もたくさん生まれています。歴史の長い京都ならではですが、例えば織田信長の時代から存在する手ぬぐい屋さんや、デザインから型彫り、染め、仕上げまで全ての工程を行なう希少性の高い風呂敷を作るお店などが存在します。
全国的に有名なメーカーである一澤帆布など、京都には帆布バッグを創業から100年以上も作り続けるお店もあります。非常に硬く丈夫な布なので耐久性は抜群です。もともとは職人向けのかばんだったので、その実用性と丈夫さが魅力です。日常のファッションに取り入れたい和雑貨です。
奈良県は昔、町人の9割が麻織物を作っていたという歴史があります。武士の衰退と共にその文化も規模が落ちていきましたが、現存のお店や職人も存在します。奈良の麻小物は宮内庁御用達の商品に認定されるほど、おしゃれなデザインと品質の良さが際立って優れています。
ポーチなど日常生活で生きる雑貨もたくさんあるので、自然な味わいのアイテムを好む方はチェックしてみてください。
基本的に現存の和雑貨は江戸時代の江戸で生まれたといわれていますが、その江戸が盛んになるはるか以前から栄えていた関西地区だからこそ、歴史のある名店、文化伝統がたくさん存在します。
関西、特に京都の文化は部外者からすると敷居が高そうに見えますが、警戒心を解いて近付いてみると意外にも生活に密着した雑貨がたくさんあると分かります。関西在住の方はもちろんですが、旅行で関西に出掛けた際には、名店を巡ってみてください。