近年、和雑貨がかなり人気です。京都や金沢にある和雑貨屋は観光客にも大人気ですし、全国各地に和雑貨を扱うお店が出てきています。日本人のみならず、世界の人にも風呂敷や手ぬぐい、扇子はおみやげ品として人気ですし、百貨店で風呂敷などの特集を組むと、売上もかなり伸びると聞きます。
戦後、言ってしまえば明治維新のころから日本は日本的な文化を捨ててしまった感がありますが、平成の現代、ようやく日本人は日本本来の文化に対する感受性を取り戻しつつあると言えます。
ではなぜ、現代日本人や欧米各国の観光客は日本の雑貨に引かれるのでしょうか? 理由はいろいろと考えられますが、そのうちの1つとして和雑貨に共存する日用品としての使い勝手と、工芸品としての美しさがあると思われます。
例えば日本のお茶の世界は、「お茶を飲む」という極めて実用的な動作の中に、美しさを見出しています。同時にお茶の道具にも実用性と美が求められ、長い時間を掛けてその共存は完璧な形にまとめあげられていきました。
他にもお香があります。「異臭を消して、香りを付ける」という実務的な目的を果たすために、日本人は匂い袋や掛け香、文香など見た目にも美しい要素を取り入れます。
まさに実用性の中に磨きぬかれた装飾性が共存している、その驚きに思わず誰もが手を伸ばしてしまうのです。しかも和雑貨は手のひらに乗せられるようなサイズが多いです。小さいアイテムの中に実用性と装飾性が詰まっている、その小宇宙に人は魅了されているのです。
今回の章では、その実用性とアートが共存した和雑貨の魅力を、いろいろな形で再確認したいと思います。