今もなお存在し、庶民の間で普通に流通している和雑貨のほとんどは、江戸時代に発展した商品だと言われています。今でも、東京の浅草など下町では和雑貨の老舗や土産物屋で和雑貨がたくさん扱われているので往年の雰囲気は伝わってきます。
ところでその江戸期、幕府が置かれた東京以外ではどのような伝統工芸の文化が育ったのでしょうか? 今回の章では全国にどのような伝統工芸や和雑貨が成立し発展してきたのか、さらには全国的な知名度を誇る地方都市の和雑貨は何なのか、考えてみたいと思います。
日本の強さを地方都市の発展に見た識者がいますが、その通り和雑貨や伝統工芸の分野でも、日本は東京や京都以外の全国で、いろいろな文化が発展してきました。しかも商業として成功し、今なお生き残っている伝統はたくさんあります。
東北地方で言えば岩手の南部鉄器、秋田の曲げわっぱなどは全国的にも有名で、外国にもファンがいます。北陸で言えば富山の鋳物、石川の輪島塗、金箔工芸なども全国区の知名度を誇ります。
九州、沖縄で言えば鹿児島の薩摩切子、沖縄の琉球ガラスなどの分野では、伝統工芸としての格式を残しながら新たなる進化に向けて職人たちが日々腕を競っています。
東京や京都だけではない、東北や日本海側、九州最南端や沖縄に至るまで、地方都市にこれだけの文化が発展している日本の底力はやはり計り知れない部分があります。
旅行に訪れた際には名匠をたずね、なかなか足を運ぶ機会がない場合はインターネットなどで取り寄せてみるといいでしょう。