和のデザインは海外でも高く評価され、日本に訪れた外国人にもかなり人気があります。特に風呂敷や手ぬぐいに染め入れされた模様が日本的だとして、好んでお土産に買って帰る外国人旅行者は多く居ます。
そこで今回は、日本人である私たちが改めて日本に残る伝統的なデザインを学びなおし、その魅力を再発見できればと思います。代表的な模様は何らかのモチーフの繰り返しによって生まれます。特によく使用されるモチーフを今回は説明します。
基本的に何らかのモチーフを繰り返し利用する点では変わらないのですが、和柄のモチーフは大まかにいって3つに分類が可能です。
幾何学的模様
動植物模様
身近な生活で見かける模様
もちろんこれ以外の分け方も可能ですが、今回は和の模様を大まかに理解する目的があるので、まずは上述の3つの分類でみてみましょう。
幾何学的模様とは、岩波書店の『広辞苑』を調べると、 「方形・三角形・菱形・多角形・円形などを組み合わせた模様」 という説明があります。何らかの単純化された図形を組み合わせ、そのパターンを繰り返し使用したデザインを幾何学的模様といいます。具体的には、
が有名です。渦文様はその名の通り、渦巻きが繰り返し利用されているデザインで、宝相華とは中国で生まれた架空の花です。立湧とは水蒸気が立ち昇る様子を描いた模様になります。そうした現実や架空の物を単純化し、その単純化した図形を繰り返し利用した模様が、上述のデザインになっています。
デザインは今も昔も、身近な生き物からインスピレーションを受けて誕生する場合が多くあります。日本の雑貨に利用される模様も同じで、
など、身近な動植物を利用したデザインは特に有名で繰り返し利用されてきました。桜草とは桜の花びらが使用されたデザインで、格子に木爪とは木爪という花を格子状に配置したデザイン、波に千鳥とは波間を飛び回る鳥、亀甲に鶴とはその通り、長寿のシンボルであるカメとツルを組み合わせたデザインになります。
動植物だけでなく、身近な道具や自然現象を題材に生み出された模様もたくさんあります。例えば、
というデザインです。字体からデザインをイメージしやすいと思いますが、青梅波文様は青い海の波を単純化したデザインで、雷文様は四角形の渦巻きで雷を表現、熨斗繋ぎとは四角の中に縁起物を描き、さらにその四角を斜め一列に並べた表現になります。流れに紅葉はそのままで、流水に紅葉を散らしたデザインです。竜田川とも呼ばれます。
これから和のデザイン、和の模様を鑑賞する際には、まず何らかの規則性を発見してください。またその規則性あるデザインの1つ1つが何を象徴しているのか、分かりやすい場合もあればちょっと考えなければいけない場合もありますが、考えてみてください。
その上で店員さんや解説書などで何の模様なのかを確かめてみると、味わいもまた増します。非常に身近なテーマで模様が作られているので、共感できるはずです。和雑貨を楽しむ場合は、模様も楽しんでください。